フリーメイソンとユダヤ

仰々しいタイトルだが、この本の表紙のように、ユダヤとフリーメイソンの関連性を
探る動きはかなりしつこい。ソロモン王の神殿や北米の一部ではカバリズムを
教育の題材に使用していることがあるためだと思われるが、はっきりと言及して
フリーメイソンリーとユダヤ教はまったく関係がない。

何度も言うが、そもそもフリーメイソンリーは宗教ではない。

ここで紹介した本はアメリカでかなり支持されている本らしく、中身を読んだ訳ではないので
内容についてはなんとも言えないが、AmazonのReviewがそれを物語っていた。

私がここで言いたいのは、この表紙のように、フリーメイソンのシンボルであるスクエアと
コンパス（Square and Compass）がユダヤ教のシンボルであるダビデの星（David's Star）
を形作っている例をしばしば目にするが、これは本当に呆れてしまうほどのデタラメである。

フリーメイソンのシンボリズム

ご存知の通り、フリーメイソンリーに於いては多くのシンボルが用いられている。
その目的は、ひとえに道徳的な教訓や指針を受け継ぐためであり、
同じメイソン同士を認識するための記号・暗号として必ずしも使っている訳ではない。

もちろんメイソンが好む記号を知っていればこそ分かる、企業のロゴや会社名など
世間を見渡せばいくらでも見つけることができる。（シトロエンやワーナーブラザーズなど。）
それが分からないことは一般市民としてなんらマイナスではないのは当然だが、
知っていれば社会を見渡す愉しみが増えてプラスの娯楽になるのはメイソンの
一つの特権かもしれない。

何度も繰り返すが、フリーメイソンの成り立ちは古代の石工のギルドからきており、
石工は様々な工具を使用して仕事に従事していた。
現代のメイソンはそのような労働を行わない代わりに、それらの工具を人間的な成長を助長し、
巨石建造物を造る代わりに人間としての完成した姿を作るための道具として
それらのシンボルを使用する。これら工具などのシンボルはメイソンになってから学べば良い。

フリーメイソンリーとは何か？を問うと常に応えられる最初の言葉は、

○○ではないフリーメイソン

しばしば入会を希望する人に訊かれる、『フリーメイソンとは何か』について、
『フリーメイソンとは○○である』と断言することは非常に難しい。

メイソンそれぞれがフリーメイソンリーをどう捕らえるかによって、
いかようにもその性質は変わりうるし、事実、全員に共通する認識は乏しい。

言い方を変えて、フリーメイソンリーが『○○ではない』といえば、
いくつかの明確な定義ができる。

・営利団体ではない
・ビジネスサークルではない
・政治結社ではない
・宗教団体ではない
　　　　　・
　　　　　・
　　　　　・

とはいえ、この否定形を続けていたら、やがては『テロ組織ではない』などが
抜けていたからという理由で逆説的にそのレッテルを貼られてしまいそうだが、
テロ組織だと思って入会を希望するような人はいないだろうから、常識的に
前述までに留めておく。

フリーメイソンになるための最初の一歩

フリーメイソンになるための第一歩は、まずは『扉を叩く』ことに始まる。
それは、親しい友人が実はメイソンであって、彼からメイソンについて話を聞くうちに
興味を持ったとしても、フリーメイソンになりたければ自分から扉を叩かねばならない。

フリーメイソンのルールとして、誰も勧誘してはならないため、
入りたければ自分の意志で『入りたい』と入会を求める必要がある。

メイソンの立場から言うと、いくら親しい友人といえども勧誘したり
まして入会するよう説得したりできないため、ひたすらフリーメイソンの良さをアピールしたり、
多くのメイソンと引き合わせて友好の輪の中に入りたいと思ってもらえるまで待つしかない。

『扉を叩く』と言っても、いきなりロッジやグランドロッジに押しかけて良いという意味ではない。
あくまでも『入会を求める』という意味であり、そのためにはメイソンの友人がいる必要がある。

ではメイソンの友人がいない場合はどうすればよいのだろうか？