何年か前に読んだ本だが、最近日本でも翻訳出版されたそうなので取り上げてみよう。
SR33°のMorris氏による解説本で、これが氏の執筆でなければ『暴露本』と称されるだろう。
はっきり言って、これを読んでおけばフリーメイソンに関するあらゆる疑念が解消され、
また誤解も同様に解けるであろう。各階級の試験に合格して始めて与えられる
シンボルに関するありがたい講義なんかも思い切り書いてある。
また、世界の各地域によって異なる部分こそあれ、儀式の進行やセリフまで載っている。
筆者がアメリカのメイソンであることから、歴史的な背景から現在の体制までをアメリカ中心に
かなり詳しく解説してあるが、現状の日本の主要ロッジおよび日本グランドロッジのことを
考えると、そのまま日本で通用する事項もかなり多いであろう。
しかし翻訳版を読んだ人の感想を聞いたところ、どうやら不自然なほど翻訳に徹しているようで、
例えば『棟梁メイソン』とか『大ロッジ』とか言われても最初はピンとこなかったらしい。
この本はあまりにも多くの実情・事実を正確に記録しているため、私はそもそも
この本(オリジナルの時点で)の是非には疑問があった。しかし私はメイソンではない人々の
ために、『メイソンとは』を説く解説書があっても良いとスタンスが変化している。
ただこれをメイソンになりたての人が、或いはこれからメイソンになりたい人が読むのは
非常に問題があると思う。なぜなら、本来は大勢のメイソンの助力を得て儀式を受け、
講義を与えられる十分な資格があると認められた時に受けるべき講義なのに、この本を
読むと至る所に赤裸々に綴られているからである。
ご丁寧に儀式の内容のセリフ回しまで記載しており、動作の部分や山場である
マスター・メイソン(Master Mason)の階級の儀式こそ触れていないが、普段から密室で
ゴソゴソ秘密を守ってきている我々は何なのかと疑問すら感じてしまうほどだ(笑)
もっとも、儀式の動作やMaster Masonの肝心な逸話は下記DVDで動きで確認できてしまうが・・・。
http://freemasonry.blog.shinobi.jp/Entry/75/
http://freemasonry.blog.shinobi.jp/Entry/77/
この本がフリーメイソンについてあまりにも明快に解説してしまっているため、
私はこの本の読者がメイソンになれないよう調整を図ろうと考えている。
その方法は簡単で、
或いは、フリーメイソンリーについて知っていることを訊くだけでも十分か。
この辺はこれ以上あまり触れないでおこう。
しかしながら、この本があまりにも多くのことを書いているとはいえ、
体験に勝るモノはない。いくら儀式の筋書きを知っており、DVDで見たことがあると言っても、
実際に儀式を体験したときの恐怖(!)はこの上ないからだ。
原典はこちら↓
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