フリーメイソンになる意味

なぜフリーメイソンなのか。

以前にも書いたように、その答えはメイソンが１０人いれば１０通りの答えが返ってくる。

そもそも、という一般的な話になるが、フリーメイソンというのはもともと石工の集まりで、
巨大な石造建築に従事する技術者の職業労働組合のようなものであった。
フリーメイソンがこれまで男性のみとされてきたのはこの理由である。

石造建築の現場には常に事故による怪我や死亡の危険があり、
その結果労働に従事できなくなった際に救済する相互扶助団体であった。
自分で収入を稼ぐことができなくなった石工への支援の場合もあれば、
死亡して残された未亡人・遺児（orphansを意訳）への援助の場合もある。

つまり、保険がなかった遙か昔に、保険に代わりその役割を担っていた。

今でもその役割は残っており、メイソンとなる大原則の一つである。

最近、こちらでも恐らく日本でも多いのは、インターネットでフリーメイソンについて知り、
なんらかの『秘密』に興味を持って入会の扉を叩くというものであるが、
このような本来の意義を知らずに訪れる人が多い。

『秘密』に関しては、やはり石造建築の職業労働組合に由来する。
巨大な石造建築のためには高度な技術や幾何学の知識が必要であり、
それらの知識・技術を持つ石工は、簡単にそのスキルを他に明かすことはない。
明かすことは自分の職業機会を他人に奪われる恐れがあるからである。

石造建築は一国の中に収まることはなく、特に宗教建築などもそうだが、
一つ教会を建てたら次の現場に赴き、また一つ教会を建てる。
『秘密』はこのように国をまたいで建造のプロジェクトを移動するときの『手形』としても機能する。
『フリー』メイソンの『自由』は、この自由な往来を意味するところが大きい。

『秘密』を得られるのは本当に認められたメンバーだけであるべきで、
いざという時に他人を救済することもできないのに、自分が困った時は救済してもらえる、
そう考えている若者が多いことは残念でならない。
フリーメイソンを志す者は、今一度その『意味』について考えてほしい。